2007
01
[クリニック]
整形外科のクリニックである。整形外科といえば個人的経験でいうと良い思い出がない。腕を骨折した、膝をひどく痛めた、ぎっくり腰になった・・・ ここに来る患者は皆、痛みをかかえて藁にもすがる思いで駆け込んでくる。そんな患者の痛んだ心を癒してあげる建築を設計したい、その思いが全てである。
札幌という地のため雪をためる屋根を建物本体から独立させ、そこからステンレスメッシュのヴェールを垂らした。生まれたばかりのヒナをそっと包み込んであげるような、あるいは花嫁のヴェールのような、そんなものを頭に描きながら、建物を包み込むヴェールとして表現した。
ヴェールで生まれた半屋外の中間領域は、スポーツ選手のリハビリのための、走る、投げるといった動作確認ができるスペースとなっている。
癒しの空間を形づくるもう一つの道具立てが4300個のガラスブロックである。ガラスブロックの壁面と乳白シートを貼ったガラススクリーンの二重壁とし断熱性を高めているが、ガラスブロックを透過した光が乳白シートに映り込み、色や形が様々な光のかげろうが、そこに生まれる。
時の変化、季節の変化、こずえの揺らぎ、そうしたものが静寂な待合ロビーの空間に、心地よい揺らぎをもたらしてくれた。
photo by やまだ商会
photo by やまだ商会
photo by 静川文一
photo by 静川文一
photo by やまだ商会
photo by やまだ商会
photo by 静川文一