2016
09
[店舗・ビル]
原広司が設計した梅田スカイビルで、改修などの設計をさせていただいた。
その一つが空中庭園39階の回廊回遊化である。このフロアーは飲食店舗ゾーンが3/4を占めているため、飲食店利用者でなければ入ることができず、また、サービスの後方エリアなど入ることができないエリアもあった。
空中庭園の入場者数は、2012年あたりから右肩上がりとなり、2015年度で120万人を超えている。観光客へのサービス向上の一環として、39階をぐるりと回遊できるようにしよう、というのが今回の計画である。この計画において以下のような点がポイントとなった。
①観光客動線と飲食店舗ゾーンを分離する。
②飲食店舗は3業態からなるが、厨房は1か所である。厨房からのサービス動線を客動線から分離する。
③ぐるりと巡りたくなる回廊の演出
④今回の改修は暫定的なものとして計画し、飲食店舗閉店後の夜間工事で主に行える内容であること。
こうした条件を満たすため、900mm×1800mmの床板とW900mm×H1800mmのアクリル板をセットにしたユニットを75枚並べ、全周67mの回廊とした。既存の床の上に載せ、並べていく形式とすることで、上記④の条件をクリアーさせている。
原広司は空中庭園の設計に際し、中央部に開けた丸い孔は宇宙船が飛び去った跡であるとし、「空中クレーター」と名付けていた。空中庭園を訪れる観光客にとって、空中クレーターは屋上から見下ろすことしかできなかったのであるが、今回の回廊回遊化により、見上げることができるようにもなった。
空中庭園といえば、「屋上から風景を眺めるところ」だけではなく、「飛び去った宇宙船」のストーリーという、原広司が描いたファンタスティックな世界も体験してもらえることを期待している。