2018
07
[店舗・ビル]
梅田スカイビル 開業25周年リニューアル
1993年に開業した梅田スカイビルが、2018年で開業25周年となり、空中庭園への総入場者数は1800万人となった。ここ5年ほどは外国人観光客が急増しており、2017年の年間入場者数は150万人と過去最高を記録している。
前回の大規模な改修は開業15周年、2008年に行われている。この頃は年間入場者数が50万人を切り、外国人観光客はほとんど見かけない、という状況であった。そうした環境において「恋人たちの聖地」といったキャッチフレーズのもと、ターゲットを「恋人たち」にフォーカスした改修が行われている。夜景を眺めることをメインと捉え、内装はこげ茶色を主体とし、二人きりで座れる椅子が各所に設置された。
状況が変化するきっかけの一つが、2008年、イギリスの新聞The Timesに世界の建築TOP20の一つとして梅田スカイビルを紹介した記事が掲載されたことである。また、ロンリープラネットなど海外の旅行ガイドブックが、このビルを一押ししたことが大きい。その中では、space-age(近未来的な)という形容詞で、このビルを紹介している。
こうした来場者の変化のなかで、25周年記念に向けた改修設計を積水ハウスよりご依頼いただいた。39階、40階の空中庭園のみならず、3階、35階といった経路全体に及ぶものである。
このビルの建設当時、建築家 原広司のもと、プロジェクト担当者であった私としては、竣工当時の白い空中庭園に戻すことをベースに、「space-age」な空間を期待してやってくる世界各国からの観光客に応えることを設計のテーマと捉えた。「原広司のオリジナル空間」へのリスペクトのもと、何をプラスアルファーしていくか、あるいは逆にどこまでプラスアルファーすることが許されるか、そのバランスを常に意識しながらの設計作業であった。
原広司は古今東西、人類の高い建物への憧れは「あの雲の上に広がる世界を垣間見たい」という願望から生まれたものであり、現代の超高層建築にはそのロマンが欠けている、と指摘した。今回の改修において、空中庭園の名にふさわしい、非日常的な空間が生まれるよう、思いを込めて設計している。
ゲートを立て、ここから空中庭園が始まる、という結界とする。
Before 39F ロビーは物販什器で占拠されていた。
ショップスペースを新たに確保。
円形什器とすることで建築モチーフとの対応を図る。
外の光の状態に内部の空気感も呼応するよう計画。
before